自己の信念、志を固め、作り上げていく。
-グループでの相互啓発で自信が湧き、心が鍛えられる-
人生の岐路で一時喪失した自信とやる氣を取り戻そうと、参加を決意
ある劇団でミュージカルの仕事を10 年近くしていました。いろいろな人たちから、すごいねと言われるのですが、本当は劇団がすごいのであって、自分自身がすごいわけではないんじゃないか、大きな看板に乗っかって活動しているだけではないのか、という思いが3 年位前から強くなってきました。自分の中で、自分なりのキャリアを積んで満足感も得てきたので、そろそろ自分ひとりの力でやってみようと思い始めたのです。
そこで、自分のプロフィールを持って他の事務所に売り込みに行ったのですが、ばっさり斬られてしまいました。ショックでしたね。自分が積み上げてきたものが崩壊して、心がちょっと折れてしまったのです。やる氣が起きなくなり、自信もどんどん下降して、精神的にも不安定になってしまいました。
以前から志楽の湯のファンで週3 回くらい通っていたのですが、もともと立ち直りが早い方なので、とりあえず温泉につかって癒されるうちに回復するだろうと思っていたのですが、今回だけは違いました。いろいろやらなければならない事があるにもかかわらず、いつまで経ってもやる氣が起きないのです。そんな時に、AIA のパンフレットを見て興味を持ったので、担当の方に少し概要を説明していただきました。
その後もどうしてもやる氣が回復しないので、意を決し、何かのきっかけになればいいかなという軽い気持ちで、AIA公開コース開催の1、2 日前に参加を申し込んだのです。
自ら回復する力、げん氣になる力を自分自身で作り上げていく
人には、誰にも“心”があります。その“心”の下に、ちょうどおへその下あたり、“気”が集まるところとされている丹田といわれるあたりに“心”とは別のもの、魂とか信念とか志といったようなものがあると思うのです。心はうつろいやすいところがありますが、魂、信念、志はもっと深く本質的なものなので、腹の底で据わって動じるところがありません。この魂、信念、志を自分自身の力で磨いて固めていくのがAIA のプログラムではないかと思ったのが、率直な感想です。
本を読んだり、映画を観たり、舞台を観て、感動したり、げん氣をもらったりすることももちろん大事だと思いますが、そういう外部からの刺激によるものには賞味期限があります。例えば、舞台を観に行ってげん氣になって、さあ明日から仕事を頑張ろうと思っても、2、3 日経つと元の日常に戻ってしまいます。やはり、自分自身で、自ら回復する力、げん氣になる力というのを作っていく、さらにたくましくしなやかな志のようなものを作り上げていくのが重要だと思います。
グループでの相互啓発により、潜在的なポテンシャルに気づき、自信が湧く
コースを体験して、自分も含めて参加した皆さんが目に見えて変わっていったのが心に残りました。最初、ドアを開けて会場に入ったときは、皆さん下を向いて背中が曲がっていて、げん氣がないように見受けられました。
私も最初は、グループ討議であまり発言しない方でした。しかし、自分でも気づかないうちにいつの間にか討議の輪の中に入っていました。皆の意見をまとめて発表する役回りが順番で回ってくるので、頭をフル回転させて参加しなければなりません。自然と集中力が高まってくるので、朝から晩まで続けても眠気なんか全然起きませんでした。それが不思議でしたが、そういう人は他にもいました。
皆でディスカッションして発表していくうちに、“聞く”能力がとても高い人の存在が明らかになってきたことがあります。最初、本人はそのことに気がついていないのですが、周りからそのことを指摘されると次第に自覚し、心が開いてきたようでした。背筋が伸び、目つきも違ってきて、本当に表情が変わってきたのです。
また、ディスカッションやグループ発表を通じて自分をどうやって相手に伝えるかを研究しながら何度も繰り返していくので、プレゼンも皆さんどんどん上手になります。プレゼンすることがすなわち自分で考えることなのだと思います。そして、信念や志の部分を皆で作っていく。いっしょに食事して、お風呂に入っていくうちに、仲間意識が芽生え、結束力が強まっていきます。
そうして、皆さん、2 泊3 日のうちに目を見張るほど変わっていったのです。グループでの相互啓発により、自分の中の潜在的なポテンシャルを発見して、それを自らの手で引き出していく。それに応じてハートもどんどんオープンになっていったのだと思います。最初はしょんぼりしていた人が、コース終了後は胸を張って帰って行かれたのが、とても印象的でした。
ただ、人間の本質というものはすぐに変えられるものではありません。AIA に参加したからといって、急に別人みたいに変わったというのはないと思います。でも、漢方薬みたいにだんだんと効いてくるのではないでしょうか。そしてその効き目が長続きするように思います。自分の中で信念を持って土台固めをしておけば、自分の中の軸がぶれそうになっても、ちゃんとまっすぐに戻せるのではないかと、今は思っています。
自分の場合は目下、ゼロからのスタートなので、正直AIA に参加した後でも、実際何度かは将来への不安から心が崩れそうになったこともありました。そんなときにはAIA で学んだことを思い出して、軸を戻すように務め、自分の心の奥にある部分を固めるような考え方で行動しています。おかげで、忍耐力がつき、日常生活でも落着いて心に安らぎやゆとりみたいなものを持てるようになりました。
夢や希望、志を持てる社会・啓育文化の創造に貢献していきたい
ミュージカルの劇団員というと、皆小さい頃からバレエとか声楽などを習っているイメージが強いと思いますが、私の場合は24歳になってからバレエや声楽、演技などを始めました。「これから劇団に入る」と自己宣言したところ、周りの人々から失笑を買い、誰も本気にしませんでした。“大人になってから始めても絶対無理”だと。
それでも諦めずに何とかこつこつと努力を続け、5 年かけて合格することができました。入団後もこつこつとやってきて10 年近く第一線に残ることができたので、こうした経験をこれから社会に出るダイヤモンドの原石と言うのにふさわしい若い人たちに伝えていきたいのです。夢を持つことの大切さ、年齢など一切関係ない、信念、志があれば何でもできるのだと。そのことを一人でも多く伝えるために、現在、私のこれまでの体験談を1 冊の本にまとめ、出版することを目指しています。
夢を仕事に!始めるのに遅いことなんて一つもないのです。それぞれの持てる能力を認めてあげて、彼らの信念や志のスイッチをオンにしてあげることで、それぞれの夢の実現に向けてはばたいていって欲しいと思います。そして、「誰もが夢や希望、志などを持てる社会・啓育文化の創造に貢献することを志す」、それが私の信念であり、自己宣言です。
※The Coordinator 第266 号(グループダイナミックス研究所発行)より、個人を特定できる情報を除いた上で掲載しています。