「生涯現役化の促進に向けて」
(導入の経緯)
情報・通信分野におけるイノベーションは日進月歩。最先端の技術力、最高水準のトップランナーであり続けることは容易ではありません。企業にとっても働く個人にとっても「専門能力の陳腐化」こそ最も恐れるべきところです。とくに社員の中高年齢化という問題を契機に、イノベーションの荒波の中でも活躍し続ける「生涯現役化の促進」に順次着手していきました。
「生涯現役化」促進策の柱の一つがAIAの導入でした。かつては誰もがゼネラリスト志向で管理職になることを目指しましたが、それでは専門性が落ちてしまう。給料は高いがスキルは無い。これだと組織の未来は無いし、中高年齢層のリストラという話にもなってしまいます。これからは企業依存型から脱し、一人ひとりが自己責任に基づくライフプランをもって生きていく時代ですから、常に専門能力の再開発に努め、激しい変化に対応できる自律型の人財になってほしい。そのための意識付けに、まず50歳以上の管理職を対象にAIAを導入、その後、48歳以上、42歳以上と段階的に対象年齢を拡大しながら実施しました。
(効果)
参加者の評価は良好。「知識やスキルの研修は必要だが、心の側面の大事さが分かった」「押しつけでなく自分自身で考えさせてくれるところが良い」などの声が寄せられました。
また、フォローアップ・アンケートでは「研修は有意義だったか」が82%、「学んだことを職場や日常生活で活かせる」が86%と高い数値を示しました。
参加後のフォローとして1ケ月後、3ケ月後、6ケ月後、1年後の計4回アンケートを実施しましたが、直後に高かった評価が3ケ月後には下がり、6ケ月後、1年後と再び上昇してくる傾向もみられました。受け止め方の深さや意味づけは一人ひとり違いますし、時とともに変化をしていくものであることを理解しました。
(今後に向けて)
人間はやはり熱いハートの持ち主でなければいけません。そこにどう点火するか。しかも本人自身に気付いてもらわないと意味がない。だからこそAIAだったのです。
今後の課題は、AIAの対象を全従業員にまで広げることです。それは今、「活力を失っている中高年齢層をどうするか」という後ろ向きの発想ではなく、まさに「生涯にわたって活力にあふれる最先端の専門家であり続けるためにどうするか」、という課題への挑戦だからなのです。