■自動車部品会社
「50代・モノづくりリーダー向けキャリアプラン支援策として」
(導入の経緯)
当社では数年前に人事制度を見直し、製造現場のリーダー層の役職を、管理職と専門職とに分けることになりました。とくにシニアリーダーは、現場を離れて管理業務に専念するため、役職定年後のことが危惧されました。これまで培った技能を活かせるのか、モラールダウンを防ぐことができるのか、こうしたことを議論しました。というのも、当社は55歳を役職定年としており、その後、スタッフ部門へ進むか作業者として現場に復帰するかを選択するようになっているからです。スタッフ部門の受け皿は限られているため、製造現場に復帰せざるをえない管理職が相当数見込まれたのです。
実際に現場の生の声を集めてみると、「昨日まで自分の部下だった者の下で働くのはどうも・・・」、「なんでまた現場に・・・」など、ネガティブに受けとめる方も多くいました。
そこで、50歳・53歳・55歳の節目ごとに人事部門と製造部門がタイアップして、節目研修や進路に関する話し合いの制度を核としたキャリアプラン支援策を導入することになりました。
ここで着目したのがAIAでした。以前より係長研修の一部に導入しており、評判がすこぶるよく社内での拡充の声もあったため、管理職への全面展開を決めました。まずは50歳の節目を迎えた方に対して、キャリアを深く考え、今後の会社人生や定年後の人生を考察する機会として、AIAをベースとしたキャリアプラン研修を実施します。その後、53歳で技能の棚卸や活躍したい分野の検討、工場長との話し合い等による進路の方向付けや技能の再開発支援等を行い、55歳の配属に向けて段階的にキャリアを構築していきます。
このように、「管理職が、役職定年後も高い技能や長年の経験を活かして、いつまでもいきいきと働くことのできる環境づくりを推進する」ことを目的に、進路支援施策を実施しました。
(効果)
施策導入から5年経過後は、社内で定着し、研修の評価も上々です。
以下に、参加者の声のいくつかを記載します。上記のプロセスを経過することなく役職定年を迎えたとしたら、ネガティブな気持ちのままの管理職が増えていたかもしれません。
・反省するところ大であった。具体的に将来を考え方向づけができた。「自分から動く」ことの重要性を改めて感じた。
・今後の人生プランを真剣に考えたことがなく、何とかなるだろうとの意識が強かったが、180度転換した想いだ。何事も積極的に取組むことの重要性を理解した。
・人生まだまだ先が長い。自分自身を見つめ直し、さらに生涯現役であり続けるために、自信をもって事にあたり、忍耐と積極性をもって取り組んでいきたい」
ちなみに、この結果はAIA自体の良さはもちろんですが、コーディネーター(AIAの進行役)の人選も鍵でした。工場で人望の厚い工場長をコーディネーターに配することで、モノづくり・人づくりの心が伝わったのではないかと思っています。
(今後について)
現場のリーダー達が定年後どう生きるかを考える機会として、AIAはすばらしく的を射たプログラムだと考えます。また、今後は管理職だけではなく、もっと若い層への意欲啓発にも活用したらどうかという声もあがっています。
事実、私自身も50歳の管理職とともに30代でAIAに参加しましたが、人生の諸先輩の考え方や経験に触れて、自分の人生について深く考えることができたことは有意義であり、大変貴重な機会でした。
■人財開発会社
組織改革でキャリア・チェンジに臨む従業員の自律心を養う
(導入の経緯)
当社は、グループ企業全体の人財育成を担う会社です。元々AIAは、中堅技能職研修や営業研修等に組み込まれ、社内に定着していました。最近では、グループ内の人財流動化に伴う再配置で、職場や職種が変更する従業員向けの研修として活用しており、AIA単独で実施することもあれば、長期研修の一部として冒頭に組み込むこともあります。後者の場合は、その後の様々な研修に意欲的に取り組むための、いわば“地ならし”としての効果が期待でき、他のプログラムとの反発が少ないので、研修担当としては大いに助かります。
AIA導入のメリットの第一は、積極的な思考と自律心が養われることです。新しい職場や仕事に従事する際は、先の見えない不安や無力感に捉われた状態でいることも多く、会社としてはこのような不安を少しでも軽くした上で、新たな環境で活躍することを期待しています。その点、AIAは徹底したグループディスカッションを通して、全ての課題を自らが考え、答えを導き出し、発表する形式なので、プログラムを通して自然と自律心を促す構造になっています。つまり、正解を示したり知識を付与するだけの「教育」ではなく、潜在的な力を引き出す「啓育」であることが最も大きな魅力だと考えます。
第二は、総合的な人間力を培える内容・構成であることです。日常の場面で遭遇する普遍的なテーマ (聴く、伝える、説得する、問題を解決する、目標を立てる、自己を理解する、相手を理解する、信念を持つ、愛する など)を幅広く扱い、様々な設問やロールプレイング、ゲームがバランス良く組み立てられています。また、全員がグループリーダーを経験するので、聴く力、伝える力、まとめる力が身につき、リーダーシップを体得することができます。
第三は、元氣になることです。最初は緊張の面持ちだった参加者同士が初日の後半にはすっかり打ち解け、ディスカッションも非常に活発になっていきます。相互に元氣よく挨拶するようになり一体感が生まれ、場の雰囲気が明るくなっていく様子が傍目にもわかりました。
(効果)
参加後のアンケートから、それぞれが深い気付きを得たことが分かります。
新しい職場の上長からも、周囲と良好なコミュニケーションを築きながら活躍しているという話をきいて、AIAの効果を実感しています。
<参加者アンケート(抜粋)>
・自分の中に、気付いていなかった長所があることに気付き、それを伸ばしていくことで自信につなげることができそうに感じた。一方、短所だと思い込んでいたことについても、見方や考え方を変えればプラスの方向に転化させることができることを学び、劣等感を払拭できると感じた。
・忍耐力について学んだ。忍耐力とは、ただ我慢するだけのものではない。「他人の行動に対して安易に判断を下さない」ことでもあり、「次のチャンスを待つ」ことでもある。忍耐力がつけられるよう努力していきたい。
・信念は簡単に固まるものではない。日々の営みに前向きに取り込む中で形成されるものだ。信念がやる氣を生み、やる氣によって実行された行動が信念を強固なものにしていく。そのために自己宣言を有効に使っていきたい。
(今後について)
AIAでは、自らの志(こころざし)を自己宣言という形で言葉にします。そして、自己宣言を何度も読み返すことにより、信念がより強固なものとなっていき、目標実現への原動力となります。今後はAIAのフォローアップとして、研修時に作成した自己宣言を見直し、ブラッシュアップしていくような場をつくっていきたいと考えています。
■不動産会社
「AIA公開コースへの派遣で異業種交流」
(導入の経緯)
私がAIAに参加したのは、親しくしている2名のAIA体験者から「絶対受けるべきだ」と強く勧められたことがきっかけです。半信半疑だった私が企業向けのAIA説明会に参加したときは、「何だかきれいごとの研修だな・・・」という印象をもちました。
迷った挙句、そんなにお勧めなら体験してみるかと思い、休暇を使って自費で参加しました。
実際に参加してみると、メンバーには人材派遣会社の副社長、個人の経営コンサルタント、客室乗務員、ベテランのセールスパーソン、入社間もない若手社員・・・などなど職業も年代きました。
また、AIAでは、朝から晩までショート・ケーススタディのグループディスカッションが繰り返され、決められた時間の中でスピード感をもって進んでいきます。グループの発表に対する評価やコメント、講義はいっさいなく、「本当に自由に発言してもよいのだ」という気持ちになります。そうなるとお互いに本音のディスカッションとなり、他のメンバーの真剣な意見や考えに大いに触発されました。
こうして自らAIAのよさを実感したこともあり、当社からはAIAの公開コースに7-8年間で100名以上派遣するまでになりました。初期は若い方が中心でしたが、その後、課長級にも参加してもらうようになりました。
(効果)
上述のとおり、講義も回答も評価もないAIAの進め方は相互啓発による気付きが多く、なおかつ公開コースへの参加だと、異業種の方々との交流を深めることができます。
これまで社内・グループ内企業の中だけでの交流ばかりで、狭くなりがちだった視野が広がり、人脈を広げる効果もあったと思います。
(今後について)
コーディネーターを養成して、自社内で独自にAIAを実施したことはありません。
公開コースにこだわるのは、第一に、異業種の方々との交流を、私が体験してきたのと同じように思う存分体験してほしいからです。第二に、公開コースが開催される研修会場の自由でソフトな雰囲気がすばらしいという点です。決して豪華な施設ではありませんが、普通の社内研修にはない雰囲気があります。
これからもできる限り長く、公開コースに社員を送り続けようと思っています。
■総合研究所
「IT関連職場の活性化を目指して」
(導入の経緯)
当社は研究開発、科学技術のプロフェッショナルと、コンピュータシステムを構築するシステムエンジニアを多数抱えており、社員の8割はコンピューシステムの仕事に携わっています。
ITの世界は技術の進歩発展が目覚しく、技術教育を主体にカリキュラムを充実させ、多くの資格取得者を輩出してきました。このように教育を充実させ技術力を高めてきた反面、各職場の活気がなくなってきたように感じていました。上司と部下はちゃんと話をしているのか、上司は部下の話を聴いて指導しているのか、部下は上司の意図を把握しているのか、一人ひとりが意気揚々と仕事をしているのか。個々の技術力は向上しても組織としての力は向上していないのではないか、このことを疑問に感じるようになりました。
やる気をもって仕事に取り組むには、自分の仕事を好きになり、使命感をもつことが必要です。そうすれば自然とコミュニケーションも活発になり組織も活気づくでしょう。そのためにはハードではなくソフト、つまり技術ではなく感性に重点を置いた教育を実施しなければ組織は廃れていく、と考えるようになりました。
いくつかの研修プログラムを比較検討しましたが、AIAの導入実績と、参加者同士のディスカッションを主体とした本人の気付きを促す組み立てになっていることに興味をもちました。日常の業務が受動的になることが多い中で、自発的・能動的に行動し気付きを得ることは重要なことだと考えたのです。
こうして、初年度は広く社内から参加者を募り実施し、翌年度は管理職への昇格者全員に対して実施しました。
(効果)
これまでに社内のオープンコースを4回、管理職昇格者対象に2回実施しましたが、対象者によって雰囲気が変わるように感じました。年齢層に幅のあるオープンコースでは自由闊達な雰囲気を感じ、世代を超えてお互いを理解しあう気持ちが育まれるようでした。
同世代が集まる管理職昇格者では、日頃顔を合わせない方と話ができてよかったという声が多く、横のつながりを密にする効果があると思いました。いずれにしてもAIAは参加者から髙い評価を得ており、「人の話を聴くよう努力するようになった」「忍耐力について考えるようになった」という声をききます。特に忍耐力については誰しもが意識するようになったと思います。
(今後について)
論理的な思考が強い技術者がAIAに参加すると、最初のうちは一つの正解を探そうとしているように見えます。それがディスカッションを重ねるうちに正解が無いことに気付き、「感性」の重要性を知るようになるのではないかと思います。
「技術偏重の研修では組織は衰退していく。もっと組織を活性化したい」という想いからAIAを導入しましたが、まずは500人の参加を目標に開催していきたいと思います。
■建設会社
「入社6年目に人生を考える」
(導入の経緯)
当社は入社6年を経過した社員の昇格者研修として導入、参加者は6年間で500名を超えました。年齢でいえば30歳前後で、入社後わき目もふらずに仕事をしてきたものの、これから人生の様々なことを考えなくてはならない年代です。
AIAの導入は、「一人の人間として、自分自身の人生や仕事のことを見つめるきっかけとしてほしい、家族や将来のことも含めてじっくりと思い描く機会を与えたい」ということが目的でした。明るく積極的に生きる姿勢を培うことを期待し、AIAを当社の研修の根幹を成すものと位置づけました。
AIA実施のひと月ほど前には、プログラム開発者のボ・コンクリン氏の著書を全員に1冊ずつ配り感想文を書いてもらうなどの工夫もしました。
(効果)
対象者には、AIA以外の実務研修も実施していますが、全体を通してのアンケートではAIAに関するコメントが多く、インパクトの大きさを実感しました。例えば、「普段考えることがないことを考える機会をもてた。これほど真剣に自分を見つめなおしたのは生まれて初めて」「自分には考えつかない物の見方に接することができた」「人生に希望が湧いた」等です。傍目にも、「失敗しないように」という安全思考や消極的な考え方ではなく、一歩踏み込んで何かをやってみよう」というアクティブなものに変化していった様が伝わりました。
(今後について)
明るく素直に物事を受け入れて、生き生きと人生に取り組む姿勢が見えてくると、これからも、一人ひとりが将来の自己像を明確に描いて、人生全般を充実させてほしいと願いますし、今後どのように、それぞれの将来が展開していくかが楽しみです。
■自動車販売会社
「リーダーの意識改革-すべての研修・業務改善・改革のベースに-」
(導入の経緯)
長年自動車の販売に携わり日本のモータリゼーションの一翼を担ってきた当社は、「社員一人ひとりが豊かな創造力と溌剌とした気概に満ちてくる会社にしていきたい」との考え方に立って、人材育成を強力に推し進めてきました。
入社時の集合研修に始まり、各部署での先輩スタッフによる指導、各種講座やセミナーへの参加など豊富なメニューが職能別の体系として用意されているほか、通信教育の活用にも積極的です。
一般的には、市場環境がきわめて厳しく研修予算が削られるなか、AIAのようなマインド中心よりも実践的なスキルアップ研修を重視する考え方になりがちだと思います。しかし、改革を進めていくには、志とビジョンをもって取り組んでいこうという気持ちが何より大切です。だからAIAだったのです。体系的なプログラムを組んで多様な研修を実施していますが、まずはとにかく「何かをつかみとろう」とする気持ちを一人ひとりがもつことで、他の研修の効果を全体的に上げていくためのベースとして考えた訳です。
当社は、各拠点の店長およびマネジャークラスを当面の対象者としてAIAをスタートし、7年間で15回のコースを開催、300名が参加しました。顧客の満足度向上にはトップの意識改革が必要です。部下とのコミュニケーションを良くし、「期待したことは必ず実現する」という信念をもった指導を行い、各拠点での部下育成の強化を図ることを目指しました。
(効果)
AIAに参加すると、思っている以上に、普段から後ろ向きの考え方や発言を自分がしていたことに気付きます。そして、自分を変える必要があるのだ、ということを理解してもらう効果がAIAにはあります。
このことは参加者アンケートの数値でも明確に確認できています。「消極的な言葉を使わず、積極的な言葉を使う」など20項目の設問に対する回答を集計すると、研修前後で見事な対比が描き出されました
(今後に向けて)
AIAの特長は、何といっても、とにかく徹底して「押しつけ」を排除していることです。教わる、という従来のスタイルに慣れてしまっている人には抵抗があるようですが、結局は、自分自身が本当に納得できるかどうかなのです。マインド中心のプログラムは他にもいくつかありますが、内容は似ていても「こうあるべきだ」というスタイルから抜け出せているものは見当たりません。AIAは、自分自身で考えて、何かをつかみとろう、自分を変えていこうという心構えを身につけるプログラムです。だからこそすべての研修のベースになりうるし、業務の改善にも、改革にもつながるはずです。その意味で、いずれは全社員に対象を広げていく必要のある研修だと考えています。
■総合情報サービス会社
「生涯現役化の促進に向けて」
(導入の経緯)
情報・通信分野におけるイノベーションは日進月歩。最先端の技術力、最高水準のトップランナーであり続けることは容易ではありません。企業にとっても働く個人にとっても「専門能力の陳腐化」こそ最も恐れるべきところです。とくに社員の中高年齢化という問題を契機に、イノベーションの荒波の中でも活躍し続ける「生涯現役化の促進」に順次着手していきました。
「生涯現役化」促進策の柱の一つがAIAの導入でした。かつては誰もがゼネラリスト志向で管理職になることを目指しましたが、それでは専門性が落ちてしまう。給料は高いがスキルは無い。これだと組織の未来は無いし、中高年齢層のリストラという話にもなってしまいます。これからは企業依存型から脱し、一人ひとりが自己責任に基づくライフプランをもって生きていく時代ですから、常に専門能力の再開発に努め、激しい変化に対応できる自律型の人財になってほしい。そのための意識付けに、まず50歳以上の管理職を対象にAIAを導入、その後、48歳以上、42歳以上と段階的に対象年齢を拡大しながら実施しました。
(効果)
参加者の評価は良好。「知識やスキルの研修は必要だが、心の側面の大事さが分かった」「押しつけでなく自分自身で考えさせてくれるところが良い」などの声が寄せられました。
また、フォローアップ・アンケートでは「研修は有意義だったか」が82%、「学んだことを職場や日常生活で活かせる」が86%と高い数値を示しました。
参加後のフォローとして1ケ月後、3ケ月後、6ケ月後、1年後の計4回アンケートを実施しましたが、直後に高かった評価が3ケ月後には下がり、6ケ月後、1年後と再び上昇してくる傾向もみられました。受け止め方の深さや意味づけは一人ひとり違いますし、時とともに変化をしていくものであることを理解しました。
(今後に向けて)
人間はやはり熱いハートの持ち主でなければいけません。そこにどう点火するか。しかも本人自身に気付いてもらわないと意味がない。だからこそAIAだったのです。
今後の課題は、AIAの対象を全従業員にまで広げることです。それは今、「活力を失っている中高年齢層をどうするか」という後ろ向きの発想ではなく、まさに「生涯にわたって活力にあふれる最先端の専門家であり続けるためにどうするか」、という課題への挑戦だからなのです。
■自動車部品会社
「50代・モノづくりリーダー向けキャリアプラン支援策として」
(導入の経緯)
当社では数年前に人事制度を見直し、製造現場のリーダー層の役職を、管理職と専門職とに分けることになりました。とくにシニアリーダーは、現場を離れて管理業務に専念するため、役職定年後のことが危惧されました。これまで培った技能を活かせるのか、モラールダウンを防ぐことができるのか、こうしたことを議論しました。というのも、当社は55歳を役職定年としており、その後、スタッフ部門へ進むか作業者として現場に復帰するかを選択するようになっているからです。スタッフ部門の受け皿は限られているため、製造現場に復帰せざるをえない管理職が相当数見込まれたのです。
実際に現場の生の声を集めてみると、「昨日まで自分の部下だった者の下で働くのはどうも・・・」、「なんでまた現場に・・・」など、ネガティブに受けとめる方も多くいました。
そこで、50歳・53歳・55歳の節目ごとに人事部門と製造部門がタイアップして、節目研修や進路に関する話し合いの制度を核としたキャリアプラン支援策を導入することになりました。
ここで着目したのがAIAでした。以前より係長研修の一部に導入しており、評判がすこぶるよく社内での拡充の声もあったため、管理職への全面展開を決めました。まずは50歳の節目を迎えた方に対して、キャリアを深く考え、今後の会社人生や定年後の人生を考察する機会として、AIAをベースとしたキャリアプラン研修を実施します。その後、53歳で技能の棚卸や活躍したい分野の検討、工場長との話し合い等による進路の方向付けや技能の再開発支援等を行い、55歳の配属に向けて段階的にキャリアを構築していきます。
このように、「管理職が、役職定年後も高い技能や長年の経験を活かして、いつまでもいきいきと働くことのできる環境づくりを推進する」ことを目的に、進路支援施策を実施しました。
(効果)
施策導入から5年経過後は、社内で定着し、研修の評価も上々です。
以下に、参加者の声のいくつかを記載します。上記のプロセスを経過することなく役職定年を迎えたとしたら、ネガティブな気持ちのままの管理職が増えていたかもしれません。
・反省するところ大であった。具体的に将来を考え方向づけができた。「自分から動く」ことの重要性を改めて感じた。
・今後の人生プランを真剣に考えたことがなく、何とかなるだろうとの意識が強かったが、180度転換した想いだ。何事も積極的に取組むことの重要性を理解した。
・人生まだまだ先が長い。自分自身を見つめ直し、さらに生涯現役であり続けるために、自信をもって事にあたり、忍耐と積極性をもって取り組んでいきたい」
ちなみに、この結果はAIA自体の良さはもちろんですが、コーディネーター(AIAの進行役)の人選も鍵でした。工場で人望の厚い工場長をコーディネーターに配することで、モノづくり・人づくりの心が伝わったのではないかと思っています。
(今後について)
現場のリーダー達が定年後どう生きるかを考える機会として、AIAはすばらしく的を射たプログラムだと考えます。また、今後は管理職だけではなく、もっと若い層への意欲啓発にも活用したらどうかという声もあがっています。
事実、私自身も50歳の管理職とともに30代でAIAに参加しましたが、人生の諸先輩の考え方や経験に触れて、自分の人生について深く考えることができたことは有意義であり、大変貴重な機会でした。
■人財開発会社
組織改革でキャリア・チェンジに臨む従業員の自律心を養う
(導入の経緯)
当社は、グループ企業全体の人財育成を担う会社です。元々AIAは、中堅技能職研修や営業研修等に組み込まれ、社内に定着していました。最近では、グループ内の人財流動化に伴う再配置で、職場や職種が変更する従業員向けの研修として活用しており、AIA単独で実施することもあれば、長期研修の一部として冒頭に組み込むこともあります。後者の場合は、その後の様々な研修に意欲的に取り組むための、いわば“地ならし”としての効果が期待でき、他のプログラムとの反発が少ないので、研修担当としては大いに助かります。
AIA導入のメリットの第一は、積極的な思考と自律心が養われることです。新しい職場や仕事に従事する際は、先の見えない不安や無力感に捉われた状態でいることも多く、会社としてはこのような不安を少しでも軽くした上で、新たな環境で活躍することを期待しています。その点、AIAは徹底したグループディスカッションを通して、全ての課題を自らが考え、答えを導き出し、発表する形式なので、プログラムを通して自然と自律心を促す構造になっています。つまり、正解を示したり知識を付与するだけの「教育」ではなく、潜在的な力を引き出す「啓育」であることが最も大きな魅力だと考えます。
第二は、総合的な人間力を培える内容・構成であることです。日常の場面で遭遇する普遍的なテーマ (聴く、伝える、説得する、問題を解決する、目標を立てる、自己を理解する、相手を理解する、信念を持つ、愛する など)を幅広く扱い、様々な設問やロールプレイング、ゲームがバランス良く組み立てられています。また、全員がグループリーダーを経験するので、聴く力、伝える力、まとめる力が身につき、リーダーシップを体得することができます。
第三は、元氣になることです。最初は緊張の面持ちだった参加者同士が初日の後半にはすっかり打ち解け、ディスカッションも非常に活発になっていきます。相互に元氣よく挨拶するようになり一体感が生まれ、場の雰囲気が明るくなっていく様子が傍目にもわかりました。
(効果)
参加後のアンケートから、それぞれが深い気付きを得たことが分かります。
新しい職場の上長からも、周囲と良好なコミュニケーションを築きながら活躍しているという話をきいて、AIAの効果を実感しています。
<参加者アンケート(抜粋)>
・自分の中に、気付いていなかった長所があることに気付き、それを伸ばしていくことで自信につなげることができそうに感じた。一方、短所だと思い込んでいたことについても、見方や考え方を変えればプラスの方向に転化させることができることを学び、劣等感を払拭できると感じた。
・忍耐力について学んだ。忍耐力とは、ただ我慢するだけのものではない。「他人の行動に対して安易に判断を下さない」ことでもあり、「次のチャンスを待つ」ことでもある。忍耐力がつけられるよう努力していきたい。
・信念は簡単に固まるものではない。日々の営みに前向きに取り込む中で形成されるものだ。信念がやる氣を生み、やる氣によって実行された行動が信念を強固なものにしていく。そのために自己宣言を有効に使っていきたい。
(今後について)
AIAでは、自らの志(こころざし)を自己宣言という形で言葉にします。そして、自己宣言を何度も読み返すことにより、信念がより強固なものとなっていき、目標実現への原動力となります。今後はAIAのフォローアップとして、研修時に作成した自己宣言を見直し、ブラッシュアップしていくような場をつくっていきたいと考えています。
■不動産会社
「AIA公開コースへの派遣で異業種交流」
(導入の経緯)
私がAIAに参加したのは、親しくしている2名のAIA体験者から「絶対受けるべきだ」と強く勧められたことがきっかけです。半信半疑だった私が企業向けのAIA説明会に参加したときは、「何だかきれいごとの研修だな・・・」という印象をもちました。
迷った挙句、そんなにお勧めなら体験してみるかと思い、休暇を使って自費で参加しました。
実際に参加してみると、メンバーには人材派遣会社の副社長、個人の経営コンサルタント、客室乗務員、ベテランのセールスパーソン、入社間もない若手社員・・・などなど職業も年代きました。
また、AIAでは、朝から晩までショート・ケーススタディのグループディスカッションが繰り返され、決められた時間の中でスピード感をもって進んでいきます。グループの発表に対する評価やコメント、講義はいっさいなく、「本当に自由に発言してもよいのだ」という気持ちになります。そうなるとお互いに本音のディスカッションとなり、他のメンバーの真剣な意見や考えに大いに触発されました。
こうして自らAIAのよさを実感したこともあり、当社からはAIAの公開コースに7-8年間で100名以上派遣するまでになりました。初期は若い方が中心でしたが、その後、課長級にも参加してもらうようになりました。
(効果)
上述のとおり、講義も回答も評価もないAIAの進め方は相互啓発による気付きが多く、なおかつ公開コースへの参加だと、異業種の方々との交流を深めることができます。
これまで社内・グループ内企業の中だけでの交流ばかりで、狭くなりがちだった視野が広がり、人脈を広げる効果もあったと思います。
(今後について)
コーディネーターを養成して、自社内で独自にAIAを実施したことはありません。
公開コースにこだわるのは、第一に、異業種の方々との交流を、私が体験してきたのと同じように思う存分体験してほしいからです。第二に、公開コースが開催される研修会場の自由でソフトな雰囲気がすばらしいという点です。決して豪華な施設ではありませんが、普通の社内研修にはない雰囲気があります。
これからもできる限り長く、公開コースに社員を送り続けようと思っています。
■総合研究所
「IT関連職場の活性化を目指して」
(導入の経緯)
当社は研究開発、科学技術のプロフェッショナルと、コンピュータシステムを構築するシステムエンジニアを多数抱えており、社員の8割はコンピューシステムの仕事に携わっています。
ITの世界は技術の進歩発展が目覚しく、技術教育を主体にカリキュラムを充実させ、多くの資格取得者を輩出してきました。このように教育を充実させ技術力を高めてきた反面、各職場の活気がなくなってきたように感じていました。上司と部下はちゃんと話をしているのか、上司は部下の話を聴いて指導しているのか、部下は上司の意図を把握しているのか、一人ひとりが意気揚々と仕事をしているのか。個々の技術力は向上しても組織としての力は向上していないのではないか、このことを疑問に感じるようになりました。
やる気をもって仕事に取り組むには、自分の仕事を好きになり、使命感をもつことが必要です。そうすれば自然とコミュニケーションも活発になり組織も活気づくでしょう。そのためにはハードではなくソフト、つまり技術ではなく感性に重点を置いた教育を実施しなければ組織は廃れていく、と考えるようになりました。
いくつかの研修プログラムを比較検討しましたが、AIAの導入実績と、参加者同士のディスカッションを主体とした本人の気付きを促す組み立てになっていることに興味をもちました。日常の業務が受動的になることが多い中で、自発的・能動的に行動し気付きを得ることは重要なことだと考えたのです。
こうして、初年度は広く社内から参加者を募り実施し、翌年度は管理職への昇格者全員に対して実施しました。
(効果)
これまでに社内のオープンコースを4回、管理職昇格者対象に2回実施しましたが、対象者によって雰囲気が変わるように感じました。年齢層に幅のあるオープンコースでは自由闊達な雰囲気を感じ、世代を超えてお互いを理解しあう気持ちが育まれるようでした。
同世代が集まる管理職昇格者では、日頃顔を合わせない方と話ができてよかったという声が多く、横のつながりを密にする効果があると思いました。いずれにしてもAIAは参加者から髙い評価を得ており、「人の話を聴くよう努力するようになった」「忍耐力について考えるようになった」という声をききます。特に忍耐力については誰しもが意識するようになったと思います。
(今後について)
論理的な思考が強い技術者がAIAに参加すると、最初のうちは一つの正解を探そうとしているように見えます。それがディスカッションを重ねるうちに正解が無いことに気付き、「感性」の重要性を知るようになるのではないかと思います。
「技術偏重の研修では組織は衰退していく。もっと組織を活性化したい」という想いからAIAを導入しましたが、まずは500人の参加を目標に開催していきたいと思います。
■建設会社
「入社6年目に人生を考える」
(導入の経緯)
当社は入社6年を経過した社員の昇格者研修として導入、参加者は6年間で500名を超えました。年齢でいえば30歳前後で、入社後わき目もふらずに仕事をしてきたものの、これから人生の様々なことを考えなくてはならない年代です。
AIAの導入は、「一人の人間として、自分自身の人生や仕事のことを見つめるきっかけとしてほしい、家族や将来のことも含めてじっくりと思い描く機会を与えたい」ということが目的でした。明るく積極的に生きる姿勢を培うことを期待し、AIAを当社の研修の根幹を成すものと位置づけました。
AIA実施のひと月ほど前には、プログラム開発者のボ・コンクリン氏の著書を全員に1冊ずつ配り感想文を書いてもらうなどの工夫もしました。
(効果)
対象者には、AIA以外の実務研修も実施していますが、全体を通してのアンケートではAIAに関するコメントが多く、インパクトの大きさを実感しました。例えば、「普段考えることがないことを考える機会をもてた。これほど真剣に自分を見つめなおしたのは生まれて初めて」「自分には考えつかない物の見方に接することができた」「人生に希望が湧いた」等です。傍目にも、「失敗しないように」という安全思考や消極的な考え方ではなく、一歩踏み込んで何かをやってみよう」というアクティブなものに変化していった様が伝わりました。
(今後について)
明るく素直に物事を受け入れて、生き生きと人生に取り組む姿勢が見えてくると、これからも、一人ひとりが将来の自己像を明確に描いて、人生全般を充実させてほしいと願いますし、今後どのように、それぞれの将来が展開していくかが楽しみです。
■自動車販売会社
「リーダーの意識改革-すべての研修・業務改善・改革のベースに-」
(導入の経緯)
長年自動車の販売に携わり日本のモータリゼーションの一翼を担ってきた当社は、「社員一人ひとりが豊かな創造力と溌剌とした気概に満ちてくる会社にしていきたい」との考え方に立って、人材育成を強力に推し進めてきました。
入社時の集合研修に始まり、各部署での先輩スタッフによる指導、各種講座やセミナーへの参加など豊富なメニューが職能別の体系として用意されているほか、通信教育の活用にも積極的です。
一般的には、市場環境がきわめて厳しく研修予算が削られるなか、AIAのようなマインド中心よりも実践的なスキルアップ研修を重視する考え方になりがちだと思います。しかし、改革を進めていくには、志とビジョンをもって取り組んでいこうという気持ちが何より大切です。だからAIAだったのです。体系的なプログラムを組んで多様な研修を実施していますが、まずはとにかく「何かをつかみとろう」とする気持ちを一人ひとりがもつことで、他の研修の効果を全体的に上げていくためのベースとして考えた訳です。
当社は、各拠点の店長およびマネジャークラスを当面の対象者としてAIAをスタートし、7年間で15回のコースを開催、300名が参加しました。顧客の満足度向上にはトップの意識改革が必要です。部下とのコミュニケーションを良くし、「期待したことは必ず実現する」という信念をもった指導を行い、各拠点での部下育成の強化を図ることを目指しました。
(効果)
AIAに参加すると、思っている以上に、普段から後ろ向きの考え方や発言を自分がしていたことに気付きます。そして、自分を変える必要があるのだ、ということを理解してもらう効果がAIAにはあります。
このことは参加者アンケートの数値でも明確に確認できています。「消極的な言葉を使わず、積極的な言葉を使う」など20項目の設問に対する回答を集計すると、研修前後で見事な対比が描き出されました
(今後に向けて)
AIAの特長は、何といっても、とにかく徹底して「押しつけ」を排除していることです。教わる、という従来のスタイルに慣れてしまっている人には抵抗があるようですが、結局は、自分自身が本当に納得できるかどうかなのです。マインド中心のプログラムは他にもいくつかありますが、内容は似ていても「こうあるべきだ」というスタイルから抜け出せているものは見当たりません。AIAは、自分自身で考えて、何かをつかみとろう、自分を変えていこうという心構えを身につけるプログラムです。だからこそすべての研修のベースになりうるし、業務の改善にも、改革にもつながるはずです。その意味で、いずれは全社員に対象を広げていく必要のある研修だと考えています。
■総合情報サービス会社
「生涯現役化の促進に向けて」
(導入の経緯)
情報・通信分野におけるイノベーションは日進月歩。最先端の技術力、最高水準のトップランナーであり続けることは容易ではありません。企業にとっても働く個人にとっても「専門能力の陳腐化」こそ最も恐れるべきところです。とくに社員の中高年齢化という問題を契機に、イノベーションの荒波の中でも活躍し続ける「生涯現役化の促進」に順次着手していきました。
「生涯現役化」促進策の柱の一つがAIAの導入でした。かつては誰もがゼネラリスト志向で管理職になることを目指しましたが、それでは専門性が落ちてしまう。給料は高いがスキルは無い。これだと組織の未来は無いし、中高年齢層のリストラという話にもなってしまいます。これからは企業依存型から脱し、一人ひとりが自己責任に基づくライフプランをもって生きていく時代ですから、常に専門能力の再開発に努め、激しい変化に対応できる自律型の人財になってほしい。そのための意識付けに、まず50歳以上の管理職を対象にAIAを導入、その後、48歳以上、42歳以上と段階的に対象年齢を拡大しながら実施しました。
(効果)
参加者の評価は良好。「知識やスキルの研修は必要だが、心の側面の大事さが分かった」「押しつけでなく自分自身で考えさせてくれるところが良い」などの声が寄せられました。
また、フォローアップ・アンケートでは「研修は有意義だったか」が82%、「学んだことを職場や日常生活で活かせる」が86%と高い数値を示しました。
参加後のフォローとして1ケ月後、3ケ月後、6ケ月後、1年後の計4回アンケートを実施しましたが、直後に高かった評価が3ケ月後には下がり、6ケ月後、1年後と再び上昇してくる傾向もみられました。受け止め方の深さや意味づけは一人ひとり違いますし、時とともに変化をしていくものであることを理解しました。
(今後に向けて)
人間はやはり熱いハートの持ち主でなければいけません。そこにどう点火するか。しかも本人自身に気付いてもらわないと意味がない。だからこそAIAだったのです。
今後の課題は、AIAの対象を全従業員にまで広げることです。それは今、「活力を失っている中高年齢層をどうするか」という後ろ向きの発想ではなく、まさに「生涯にわたって活力にあふれる最先端の専門家であり続けるためにどうするか」、という課題への挑戦だからなのです。
■自動車部品会社
「50代・モノづくりリーダー向けキャリアプラン支援策として」
(導入の経緯)
当社では数年前に人事制度を見直し、製造現場のリーダー層の役職を、管理職と専門職とに分けることになりました。とくにシニアリーダーは、現場を離れて管理業務に専念するため、役職定年後のことが危惧されました。これまで培った技能を活かせるのか、モラールダウンを防ぐことができるのか、こうしたことを議論しました。というのも、当社は55歳を役職定年としており、その後、スタッフ部門へ進むか作業者として現場に復帰するかを選択するようになっているからです。スタッフ部門の受け皿は限られているため、製造現場に復帰せざるをえない管理職が相当数見込まれたのです。
実際に現場の生の声を集めてみると、「昨日まで自分の部下だった者の下で働くのはどうも・・・」、「なんでまた現場に・・・」など、ネガティブに受けとめる方も多くいました。
そこで、50歳・53歳・55歳の節目ごとに人事部門と製造部門がタイアップして、節目研修や進路に関する話し合いの制度を核としたキャリアプラン支援策を導入することになりました。
ここで着目したのがAIAでした。以前より係長研修の一部に導入しており、評判がすこぶるよく社内での拡充の声もあったため、管理職への全面展開を決めました。まずは50歳の節目を迎えた方に対して、キャリアを深く考え、今後の会社人生や定年後の人生を考察する機会として、AIAをベースとしたキャリアプラン研修を実施します。その後、53歳で技能の棚卸や活躍したい分野の検討、工場長との話し合い等による進路の方向付けや技能の再開発支援等を行い、55歳の配属に向けて段階的にキャリアを構築していきます。
このように、「管理職が、役職定年後も高い技能や長年の経験を活かして、いつまでもいきいきと働くことのできる環境づくりを推進する」ことを目的に、進路支援施策を実施しました。
(効果)
施策導入から5年経過後は、社内で定着し、研修の評価も上々です。
以下に、参加者の声のいくつかを記載します。上記のプロセスを経過することなく役職定年を迎えたとしたら、ネガティブな気持ちのままの管理職が増えていたかもしれません。
・反省するところ大であった。具体的に将来を考え方向づけができた。「自分から動く」ことの重要性を改めて感じた。
・今後の人生プランを真剣に考えたことがなく、何とかなるだろうとの意識が強かったが、180度転換した想いだ。何事も積極的に取組むことの重要性を理解した。
・人生まだまだ先が長い。自分自身を見つめ直し、さらに生涯現役であり続けるために、自信をもって事にあたり、忍耐と積極性をもって取り組んでいきたい」
ちなみに、この結果はAIA自体の良さはもちろんですが、コーディネーター(AIAの進行役)の人選も鍵でした。工場で人望の厚い工場長をコーディネーターに配することで、モノづくり・人づくりの心が伝わったのではないかと思っています。
(今後について)
現場のリーダー達が定年後どう生きるかを考える機会として、AIAはすばらしく的を射たプログラムだと考えます。また、今後は管理職だけではなく、もっと若い層への意欲啓発にも活用したらどうかという声もあがっています。
事実、私自身も50歳の管理職とともに30代でAIAに参加しましたが、人生の諸先輩の考え方や経験に触れて、自分の人生について深く考えることができたことは有意義であり、大変貴重な機会でした。
■人財開発会社
組織改革でキャリア・チェンジに臨む従業員の自律心を養う
(導入の経緯)
当社は、グループ企業全体の人財育成を担う会社です。元々AIAは、中堅技能職研修や営業研修等に組み込まれ、社内に定着していました。最近では、グループ内の人財流動化に伴う再配置で、職場や職種が変更する従業員向けの研修として活用しており、AIA単独で実施することもあれば、長期研修の一部として冒頭に組み込むこともあります。後者の場合は、その後の様々な研修に意欲的に取り組むための、いわば“地ならし”としての効果が期待でき、他のプログラムとの反発が少ないので、研修担当としては大いに助かります。
AIA導入のメリットの第一は、積極的な思考と自律心が養われることです。新しい職場や仕事に従事する際は、先の見えない不安や無力感に捉われた状態でいることも多く、会社としてはこのような不安を少しでも軽くした上で、新たな環境で活躍することを期待しています。その点、AIAは徹底したグループディスカッションを通して、全ての課題を自らが考え、答えを導き出し、発表する形式なので、プログラムを通して自然と自律心を促す構造になっています。つまり、正解を示したり知識を付与するだけの「教育」ではなく、潜在的な力を引き出す「啓育」であることが最も大きな魅力だと考えます。
第二は、総合的な人間力を培える内容・構成であることです。日常の場面で遭遇する普遍的なテーマ (聴く、伝える、説得する、問題を解決する、目標を立てる、自己を理解する、相手を理解する、信念を持つ、愛する など)を幅広く扱い、様々な設問やロールプレイング、ゲームがバランス良く組み立てられています。また、全員がグループリーダーを経験するので、聴く力、伝える力、まとめる力が身につき、リーダーシップを体得することができます。
第三は、元氣になることです。最初は緊張の面持ちだった参加者同士が初日の後半にはすっかり打ち解け、ディスカッションも非常に活発になっていきます。相互に元氣よく挨拶するようになり一体感が生まれ、場の雰囲気が明るくなっていく様子が傍目にもわかりました。
(効果)
参加後のアンケートから、それぞれが深い気付きを得たことが分かります。
新しい職場の上長からも、周囲と良好なコミュニケーションを築きながら活躍しているという話をきいて、AIAの効果を実感しています。
<参加者アンケート(抜粋)>
・自分の中に、気付いていなかった長所があることに気付き、それを伸ばしていくことで自信につなげることができそうに感じた。一方、短所だと思い込んでいたことについても、見方や考え方を変えればプラスの方向に転化させることができることを学び、劣等感を払拭できると感じた。
・忍耐力について学んだ。忍耐力とは、ただ我慢するだけのものではない。「他人の行動に対して安易に判断を下さない」ことでもあり、「次のチャンスを待つ」ことでもある。忍耐力がつけられるよう努力していきたい。
・信念は簡単に固まるものではない。日々の営みに前向きに取り込む中で形成されるものだ。信念がやる氣を生み、やる氣によって実行された行動が信念を強固なものにしていく。そのために自己宣言を有効に使っていきたい。
(今後について)
AIAでは、自らの志(こころざし)を自己宣言という形で言葉にします。そして、自己宣言を何度も読み返すことにより、信念がより強固なものとなっていき、目標実現への原動力となります。今後はAIAのフォローアップとして、研修時に作成した自己宣言を見直し、ブラッシュアップしていくような場をつくっていきたいと考えています。
■不動産会社
「AIA公開コースへの派遣で異業種交流」
(導入の経緯)
私がAIAに参加したのは、親しくしている2名のAIA体験者から「絶対受けるべきだ」と強く勧められたことがきっかけです。半信半疑だった私が企業向けのAIA説明会に参加したときは、「何だかきれいごとの研修だな・・・」という印象をもちました。
迷った挙句、そんなにお勧めなら体験してみるかと思い、休暇を使って自費で参加しました。
実際に参加してみると、メンバーには人材派遣会社の副社長、個人の経営コンサルタント、客室乗務員、ベテランのセールスパーソン、入社間もない若手社員・・・などなど職業も年代きました。
また、AIAでは、朝から晩までショート・ケーススタディのグループディスカッションが繰り返され、決められた時間の中でスピード感をもって進んでいきます。グループの発表に対する評価やコメント、講義はいっさいなく、「本当に自由に発言してもよいのだ」という気持ちになります。そうなるとお互いに本音のディスカッションとなり、他のメンバーの真剣な意見や考えに大いに触発されました。
こうして自らAIAのよさを実感したこともあり、当社からはAIAの公開コースに7-8年間で100名以上派遣するまでになりました。初期は若い方が中心でしたが、その後、課長級にも参加してもらうようになりました。
(効果)
上述のとおり、講義も回答も評価もないAIAの進め方は相互啓発による気付きが多く、なおかつ公開コースへの参加だと、異業種の方々との交流を深めることができます。
これまで社内・グループ内企業の中だけでの交流ばかりで、狭くなりがちだった視野が広がり、人脈を広げる効果もあったと思います。
(今後について)
コーディネーターを養成して、自社内で独自にAIAを実施したことはありません。
公開コースにこだわるのは、第一に、異業種の方々との交流を、私が体験してきたのと同じように思う存分体験してほしいからです。第二に、公開コースが開催される研修会場の自由でソフトな雰囲気がすばらしいという点です。決して豪華な施設ではありませんが、普通の社内研修にはない雰囲気があります。
これからもできる限り長く、公開コースに社員を送り続けようと思っています。
■総合研究所
「IT関連職場の活性化を目指して」
(導入の経緯)
当社は研究開発、科学技術のプロフェッショナルと、コンピュータシステムを構築するシステムエンジニアを多数抱えており、社員の8割はコンピューシステムの仕事に携わっています。
ITの世界は技術の進歩発展が目覚しく、技術教育を主体にカリキュラムを充実させ、多くの資格取得者を輩出してきました。このように教育を充実させ技術力を高めてきた反面、各職場の活気がなくなってきたように感じていました。上司と部下はちゃんと話をしているのか、上司は部下の話を聴いて指導しているのか、部下は上司の意図を把握しているのか、一人ひとりが意気揚々と仕事をしているのか。個々の技術力は向上しても組織としての力は向上していないのではないか、このことを疑問に感じるようになりました。
やる気をもって仕事に取り組むには、自分の仕事を好きになり、使命感をもつことが必要です。そうすれば自然とコミュニケーションも活発になり組織も活気づくでしょう。そのためにはハードではなくソフト、つまり技術ではなく感性に重点を置いた教育を実施しなければ組織は廃れていく、と考えるようになりました。
いくつかの研修プログラムを比較検討しましたが、AIAの導入実績と、参加者同士のディスカッションを主体とした本人の気付きを促す組み立てになっていることに興味をもちました。日常の業務が受動的になることが多い中で、自発的・能動的に行動し気付きを得ることは重要なことだと考えたのです。
こうして、初年度は広く社内から参加者を募り実施し、翌年度は管理職への昇格者全員に対して実施しました。
(効果)
これまでに社内のオープンコースを4回、管理職昇格者対象に2回実施しましたが、対象者によって雰囲気が変わるように感じました。年齢層に幅のあるオープンコースでは自由闊達な雰囲気を感じ、世代を超えてお互いを理解しあう気持ちが育まれるようでした。
同世代が集まる管理職昇格者では、日頃顔を合わせない方と話ができてよかったという声が多く、横のつながりを密にする効果があると思いました。いずれにしてもAIAは参加者から髙い評価を得ており、「人の話を聴くよう努力するようになった」「忍耐力について考えるようになった」という声をききます。特に忍耐力については誰しもが意識するようになったと思います。
(今後について)
論理的な思考が強い技術者がAIAに参加すると、最初のうちは一つの正解を探そうとしているように見えます。それがディスカッションを重ねるうちに正解が無いことに気付き、「感性」の重要性を知るようになるのではないかと思います。
「技術偏重の研修では組織は衰退していく。もっと組織を活性化したい」という想いからAIAを導入しましたが、まずは500人の参加を目標に開催していきたいと思います。
■建設会社
「入社6年目に人生を考える」
(導入の経緯)
当社は入社6年を経過した社員の昇格者研修として導入、参加者は6年間で500名を超えました。年齢でいえば30歳前後で、入社後わき目もふらずに仕事をしてきたものの、これから人生の様々なことを考えなくてはならない年代です。
AIAの導入は、「一人の人間として、自分自身の人生や仕事のことを見つめるきっかけとしてほしい、家族や将来のことも含めてじっくりと思い描く機会を与えたい」ということが目的でした。明るく積極的に生きる姿勢を培うことを期待し、AIAを当社の研修の根幹を成すものと位置づけました。
AIA実施のひと月ほど前には、プログラム開発者のボ・コンクリン氏の著書を全員に1冊ずつ配り感想文を書いてもらうなどの工夫もしました。
(効果)
対象者には、AIA以外の実務研修も実施していますが、全体を通してのアンケートではAIAに関するコメントが多く、インパクトの大きさを実感しました。例えば、「普段考えることがないことを考える機会をもてた。これほど真剣に自分を見つめなおしたのは生まれて初めて」「自分には考えつかない物の見方に接することができた」「人生に希望が湧いた」等です。傍目にも、「失敗しないように」という安全思考や消極的な考え方ではなく、一歩踏み込んで何かをやってみよう」というアクティブなものに変化していった様が伝わりました。
(今後について)
明るく素直に物事を受け入れて、生き生きと人生に取り組む姿勢が見えてくると、これからも、一人ひとりが将来の自己像を明確に描いて、人生全般を充実させてほしいと願いますし、今後どのように、それぞれの将来が展開していくかが楽しみです。
■自動車販売会社
「リーダーの意識改革-すべての研修・業務改善・改革のベースに-」
(導入の経緯)
長年自動車の販売に携わり日本のモータリゼーションの一翼を担ってきた当社は、「社員一人ひとりが豊かな創造力と溌剌とした気概に満ちてくる会社にしていきたい」との考え方に立って、人材育成を強力に推し進めてきました。
入社時の集合研修に始まり、各部署での先輩スタッフによる指導、各種講座やセミナーへの参加など豊富なメニューが職能別の体系として用意されているほか、通信教育の活用にも積極的です。
一般的には、市場環境がきわめて厳しく研修予算が削られるなか、AIAのようなマインド中心よりも実践的なスキルアップ研修を重視する考え方になりがちだと思います。しかし、改革を進めていくには、志とビジョンをもって取り組んでいこうという気持ちが何より大切です。だからAIAだったのです。体系的なプログラムを組んで多様な研修を実施していますが、まずはとにかく「何かをつかみとろう」とする気持ちを一人ひとりがもつことで、他の研修の効果を全体的に上げていくためのベースとして考えた訳です。
当社は、各拠点の店長およびマネジャークラスを当面の対象者としてAIAをスタートし、7年間で15回のコースを開催、300名が参加しました。顧客の満足度向上にはトップの意識改革が必要です。部下とのコミュニケーションを良くし、「期待したことは必ず実現する」という信念をもった指導を行い、各拠点での部下育成の強化を図ることを目指しました。
(効果)
AIAに参加すると、思っている以上に、普段から後ろ向きの考え方や発言を自分がしていたことに気付きます。そして、自分を変える必要があるのだ、ということを理解してもらう効果がAIAにはあります。
このことは参加者アンケートの数値でも明確に確認できています。「消極的な言葉を使わず、積極的な言葉を使う」など20項目の設問に対する回答を集計すると、研修前後で見事な対比が描き出されました
(今後に向けて)
AIAの特長は、何といっても、とにかく徹底して「押しつけ」を排除していることです。教わる、という従来のスタイルに慣れてしまっている人には抵抗があるようですが、結局は、自分自身が本当に納得できるかどうかなのです。マインド中心のプログラムは他にもいくつかありますが、内容は似ていても「こうあるべきだ」というスタイルから抜け出せているものは見当たりません。AIAは、自分自身で考えて、何かをつかみとろう、自分を変えていこうという心構えを身につけるプログラムです。だからこそすべての研修のベースになりうるし、業務の改善にも、改革にもつながるはずです。その意味で、いずれは全社員に対象を広げていく必要のある研修だと考えています。
■総合情報サービス会社
「生涯現役化の促進に向けて」
(導入の経緯)
情報・通信分野におけるイノベーションは日進月歩。最先端の技術力、最高水準のトップランナーであり続けることは容易ではありません。企業にとっても働く個人にとっても「専門能力の陳腐化」こそ最も恐れるべきところです。とくに社員の中高年齢化という問題を契機に、イノベーションの荒波の中でも活躍し続ける「生涯現役化の促進」に順次着手していきました。
「生涯現役化」促進策の柱の一つがAIAの導入でした。かつては誰もがゼネラリスト志向で管理職になることを目指しましたが、それでは専門性が落ちてしまう。給料は高いがスキルは無い。これだと組織の未来は無いし、中高年齢層のリストラという話にもなってしまいます。これからは企業依存型から脱し、一人ひとりが自己責任に基づくライフプランをもって生きていく時代ですから、常に専門能力の再開発に努め、激しい変化に対応できる自律型の人財になってほしい。そのための意識付けに、まず50歳以上の管理職を対象にAIAを導入、その後、48歳以上、42歳以上と段階的に対象年齢を拡大しながら実施しました。
(効果)
参加者の評価は良好。「知識やスキルの研修は必要だが、心の側面の大事さが分かった」「押しつけでなく自分自身で考えさせてくれるところが良い」などの声が寄せられました。
また、フォローアップ・アンケートでは「研修は有意義だったか」が82%、「学んだことを職場や日常生活で活かせる」が86%と高い数値を示しました。
参加後のフォローとして1ケ月後、3ケ月後、6ケ月後、1年後の計4回アンケートを実施しましたが、直後に高かった評価が3ケ月後には下がり、6ケ月後、1年後と再び上昇してくる傾向もみられました。受け止め方の深さや意味づけは一人ひとり違いますし、時とともに変化をしていくものであることを理解しました。
(今後に向けて)
人間はやはり熱いハートの持ち主でなければいけません。そこにどう点火するか。しかも本人自身に気付いてもらわないと意味がない。だからこそAIAだったのです。
今後の課題は、AIAの対象を全従業員にまで広げることです。それは今、「活力を失っている中高年齢層をどうするか」という後ろ向きの発想ではなく、まさに「生涯にわたって活力にあふれる最先端の専門家であり続けるためにどうするか」、という課題への挑戦だからなのです。